このところメディアで「睡眠の質」がよく話題になっています。ネットやSNS上でも「朝起きたら腰が痛いのでマットレスを買おうか考えている」といった声が見受けられます。
睡眠時間は人生の3分の1を占めるといわれ、睡眠の質は残り3分の2の日中のパフォーマンスにも影響します。もしあなたが大切な睡眠に関して「眠りが浅い」、「朝起きたら腰に違和感がある」といった悩みを抱えているならば、睡眠環境を改善するためにマットレスを見直す時かもしれません。
ただマットレスにもいろいろな種類があるのでよく調べたうえで選ぶ必要があります。ここではどちらを選ぶか迷うことが多い高反発マットレスと低反発マットレスを比較しながら特徴やメリット・デメリットについて説明します。
目次
1.高反発マットレスと低反発マットレスそれぞれの特徴
高反発マットレスと聞いて「硬くて寝心地が悪い」イメージを持つ方もいるのではないでしょうか。実は高反発といってもカチカチに硬いのではなく、手のひらで押さえると凹むけれどすぐ元に戻る程度です。
一方、低反発マットレスの場合は手のひらで押さえた凹みがじわじわとゆっくり戻る感じです。
たとえば高反発マットレスに卵を落としたらポンと跳ねるのに対して、低反発マットレスは落ちた卵をやんわり受け止める感覚を想像してみてください。
では反発力で寝心地はどのように変わるのでしょうか。
高反発マットレスは反発力が強く弾力性があるため、寝た時に体が沈み込みすぎず姿勢を保つため、安定感がありよい寝心地を得られます。
低反発マットレスは反発力が弱いため、寝た時に体が沈んで包み込まれるようなフィット感が寝心地のよさにつながります。
特徴が対照的なため低反発マットレスに慣れた人が高反発マットレスに変えた場合、反発力が強く体がそれほど沈み込まないため違和感があり、はじめは寝心地が悪いかもしれません。
それでも高反発マットレスを選ぶ人が多いのは、それなりの理由があるからです。
2.高反発マットレスと低反発マットレスのメリット・デメリット
人間の背骨はゆるやかなS字カーブを描くのが理想的です。しかしストレスや疲労によって背骨を支える筋肉が緊張してしまいバランスが崩れると、本来あるべきS字カーブが保てず猫背のように姿勢が悪くなってしまいます。
背骨の中には脊髄という太い神経が通っているため、背骨が歪むと内臓に影響をおよぼすほか、自律神経失調症になることもあり、首の痛みや腰痛にもつながります。
高反発マットレスを使うことで、仰向けに寝た時に重たい腰の部分が沈みこみすぎず、理想的なS字カーブを保った姿勢で寝ることができます。背骨に圧迫感がなくリラックスした状態を維持できるため快眠や腰痛改善の効果が期待できます。
低反発マットレスの場合は反発力が弱いため、腰の部分が沈み込みすぎて背骨のS字カーブが崩れてしまう可能性があります。さらに厚さが薄い場合は、沈み込む途中で床に接してしまう「底付き感」が気になることもあり、そうなるとよい寝心地は得られません。
もう一つ、快眠と腰痛対策に大切なのが寝返りです。寝返りには血行促進や体温を調節する働きがあり、大人だと一晩に20~30回ほど寝返りを打つことが望ましいとされます。
体が沈み込みすぎない高反発マットレスでは無理なく寝返りを打てますが、反発力が弱い低反発マットレスでは柔らかく包み込まれて寝心地がよい反面、寝返りが打ちにくいため腰痛につながりかねません。
腰痛対策の観点から見れば高反発マットレスの寝心地はメリットになりますが、体が沈み込みすぎる低反発マットレスは寝返りを打ちにくいことがデメリットと言えるでしょう。
ほかにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
低反発マットレスは反発力が弱いため、折りたたみ丸めてコンパクトにできるので収納性に優れています。手軽に動かせるので移動させやすい点はメリットといえるでしょう。
対して高反発マットレスは反発力が強くガッチリしているので折りたためず、コンパクトに収納できないことが場合によってデメリットになるかもしれません。また低反発マットレスに比べて商品の種類が少なく価格は高めです。
高反発マットレスは低反発に比べて通気性に優れているため夏場は蒸れにくく寝ている間に汗をかいても比較的快適に眠れますが、冬場は寒く感じることもあります。
低反発マットレスは高反発に比べて通気性が悪いため夏場は蒸れやすいので暑く感じるし、湿気が溜まらないように頻繁に通気して手入れする必要があります。
通気性が悪いことは衛生面からみてもデメリットになりそうです。
耐久性を比べると高反発マットレスは買い替える必要性を感じるまで長い場合は3年~5年とされるのに対して、低反発マットレスは1~3年とされます。一般的にマットレスが凹んできて戻らないようになると回替え時と言われますが、高反発は低反発より高値傾向にある分、長持ちするのでコストパフォーマンスをどう捉えるかは使用する方次第といえるでしょう。
では子どもにはどのマットレスが向いているのでしょうか。
小学生以上になれば高反発マットレスでも低反発マットレスでも姿勢を保つことができ、負担感なく眠ることができるため子どもの好みで判断しても問題ありません。
ただし赤ちゃんを寝かせる時は高反発にしましょう。低反発だと体が沈み込むので赤ちゃんが窒息してしまう危険があります。
3.マットレスの硬さをN(ニュートン)単位で見分ける
高反発マットレスは素材によって種類が分かれます。
コイル(鋼鉄製スプリング)を高反発素材とするボンネルコイルマットレスやポケットコイルマットレスも高反発マットレスに含まれます。
ボンネルコイルマットレスはコイルとコイルが繋がって面で支える構造になっており、寝たときに姿勢を維持するサポート性は高いものの横揺れしやすい特徴があります。
ポケットコイルマットレスは点で支える構造で、サポート性は高く横揺れもし難いですが、詰め物にウレタンフォームが使われており性能はその品質によって左右されます。ポケットコイルマットレスの方が高価でボンネルコイルマットレスは比較的リーズナブルですが、どちらも大きくて重たいので寝室に専用ベッドとして置く使い方になります。
ほかにもポリエチレン樹脂を使ったファイバー素材や天然ゴムの樹液から作られたラテックス素材などを使ったものもありますが、高反発マットレスの代表的な素材といえばウレタンフォーム素材になります。
消費者庁のホームページでは「ウレタンフォームマットレス」について「あらゆる形態で用いる寝具用のもの、ウレタンフォームの部分の最大の厚さが50ミリメートル以上のものに限る」と定義しています。
同じページで硬さについて「N(ニュートン)」という単位を用いています。
引用すると「JIS K6400-2(軟質発泡材料―物理特性―第2部:硬さ及び圧縮応力―ひずみ特性の求め方)の6.4「A法(四十%定圧縮して三十秒後の力を求める方法)」に規定する硬さ試験の測定方法により得た数値をニュートン(重量キログラム)単位で表示したものの大きさに応じ、次の表の左欄に掲げる区分に従い同表の右欄に掲げる用語を表示し、数値を括弧書きで付記するものとする。
この場合における許容範囲は、その硬さを示す数値に200ニュートン(20重量キログラム)を加えたものの±10%以内とする」(消費者庁HP「ウレタンフォームマットレス」より)という複雑なものですが、ニュートンによる区分は参考になります。
ウレタンフォームマットレスの硬さは「110ニュートン(11重量kg)以上:かため」、「75ニュートン(7.5重量kg)以上110ニュートン(11重量kg)未満:ふつう」、「75ニュートン(7.5重量kg)未満:やわらかめ」と表示されています。
消費者庁によるニュートン表示によれば「硬め」は「110ニュートン以上」になりますが、実際に高反発マットレスを触った人から「110ニュートンは柔らかいぐらいだった」という声も聞かれます。消費者庁による区分はクッション材の「ウレタンフォーム」について示したもので、製品化されたマットレスは表面の感触などから違ってくるかもしれません。
あくまで選ぶ際の参考としてください。
4.ウレタンフォームの密度で耐久性をチェック
マットレスの素材となるウレタンフォームの硬さを表わしたものが「N(ニュートン)」ならば、密度(比重/体積あたりの重さ)は「D」(Density=密度)という単位で示されます。
ウレタンフォームは石油を発泡させて作った素材でスポンジのような感触があり衝撃吸収性が高いため、マットレスに使うと静かな寝心地が得られて比較的軽量なのが特徴です。
ただ通気性があまりよくないので蒸れやすく、湿気や紫外線により経年劣化しやすいことがデメリットといえるでしょう。
高反発マットレスの耐久性はウレタンフォームの密度(D)で知ることができます。
密度が高いほどウレタンフォームの耐久性は高く、マットレスも長持ちしてへたりにくいのですが、高密度のウレタンフォームを使ったマットレスはその分だけ高価になります。
高反発ウレタンの密度(kg/m3)と耐久性について実際使用時に近い対応年数は「20D以下:耐用年数は数か月~1年程度」、「25D前後:耐用年数は1~3年程度」、「30D前後:耐用年数は3~5年程度」、「40D以上:耐用年数は5年以上」になると思われます。
密度20D前後になると実際には詰め物などに使われることが多いようです。
マットレスで25D以下のものは1万円しない安値で売られることもありますが、すぐにへたってしまい半年もたないかもしれません。
25D前後のマットレスでも長持ちしないうえに、寝た時に沈み込みすぎて腰痛の原因になる可能性があるので注意が必要です。
また、近年SDGsやエコの観点、運送コストの縮小目的でコンパクトに圧縮梱包でパッケージングするケースが増えてきましたが、その場合28D以下ですと圧縮耐久性が十分でない為、厚さが戻らないなどトラブルも発生する可能性があります。
30D~36Dの高密度タイプになると1万円~5万円近くするものもあります。しかしこのクラスは体が沈み込みすぎず寝心地がよく、お手頃の価格なので売れ筋になっています。
40D以上の超高密度タイプになれば高額になっていくので耐久年数との兼ね合いを考えながらコストパフォーマンスのよいものを選びましょう。
耐久性が高くてへたれにくく、同じ寝心地が10年持ったとしても、高反発マットレスは洗濯できないのでお手入れが行き届いていないと汚れてカビが生えてきたりもします。
その前に買い直すことを考えて、5年程度快適に使えるものを購入したほうがよいかもしれません。
5.メーカーやブランドで違う高反発マットレスの特徴
高反発マットレスについてメリットとデメリット、N(ニュートン)単位で見分けるウレタンフォームの硬さ、密度を表わす「D」で分かる耐久性などを解説しました。
それを参考に自分に合ったマットレスを選びたいところですが、その前にメーカーやブランドでマットレスの特徴が違うので公式ホームページなどを見て調べておきましょう。
株式会社リフレーションジャパンでは快眠寝具ブランド『SOMRESTA(ソムレスタ)マットレス』公式サイトでマットレスシリーズのコンセプトやそれぞれの商品スペックを詳しく紹介しています。
独自開発による超高密度・高反発ウレタンフォーム「SOMRESTA(ソムレスタ)フォーム」を使ったSOMRESTAマットレスシリーズは「24万回も圧縮ひずみ試験を行って復元率99.6%」と圧倒的な品質と耐久性があり、硬さは「154Nで硬すぎず柔らかすぎない、現代日本人にあった丁度いい硬さに調整してあります。
「体圧分散性に優れ、高い反発弾性で自然な寝返りをサポートする」という内容から腰痛対策に優れた高反発マットレスであることがお分かりいただけるはずです。
まとめ
以上、高反発マットレスと低反発マットレスのメリット・デメリットなどに触れながらそれぞれの特徴を説明しました。
最後までご覧頂き誠にありがとうございました。
よりよいマットレスを探すためにはメーカーやブランドの公式ホームページでコンセプトやより詳しいスペックを調べる事前準備が大切なことも分かっていただけたのではないでしょうか。
あなたに合った高反発マットレスが見つかるお手伝いができたのならば幸いです。